湿疹について

湿疹イメージ

お子さまの皮膚は、大人に比べて薄く、まだバリア機能も発達していないため、様々なトラブルを起こしやすくなっています。さらに生後まもなくから2~3ヶ月ごろまでは、ホルモンの影響で皮膚から脂がたくさん分泌され、そのままにしておくと、よごれが肌にたまりやすいということ、また小さなお子さまは、汗の出てくる腺の密度が高く基礎代謝が活発なため、汗っかきであることなどで、皮膚のトラブルが起こりやすい条件が重なっています。そのため生後間もない新生児から生後半年くらいまでの湿疹は、原因が混在して特定しにくいため、「乳児湿疹」 と総称されます

乳児湿疹の代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

  • 乳児脂漏性湿疹
  • 接触性皮膚炎(おむつかぶれなど)
  • 新生児ニキビ
  • 汗疹(あせも)
  • アトピー性皮膚炎
  • など

乳児脂漏性湿疹

乳児脂漏性湿疹は生後2~3ヶ月の赤ちゃんによくみられるものです。これは赤ちゃんが一時的に皮脂の分泌が盛んになることによるもので、その皮脂が毛穴に詰まるなどして発症します。皮脂腺の多い頭や顔、脇の下などにできやすく、通常生後8~12ヶ月で自然に治癒します。

症状としては、黄色っぽい、かさぶた状のものができ、触るとベタベタとします。かさぶたの下には赤い湿疹ができていることもあります。かさぶた状の皮脂のかたまりは、無理にはがそうとすると、頭皮を傷めたり髪の毛が抜けてしまったりしますので、注意が必要です。

治療としては毎日お風呂に入れるようにし、赤ちゃん用シャンプーで優しく頭を洗ってあげることが大切です。しつこいものに関しては、入浴の30分位前にベビーオイル、オリーブオイルやワセリンを塗ってしばらく置き、ふやかしてから洗い流すと効果的だと言われています。

詰まった皮脂の刺激や、皮膚に常在する真菌などの影響を受けて、かさぶたが厚くなってしまったり、炎症がひどくなってしまったりした場合は、ステロイドの外用剤などによる治療を行う場合があります。また、かゆみが収まらない、範囲が広かった、という場合は、ほかの病気の可能性もありますので、早めにご受診ください。

接触性皮膚炎(おむつかぶれなど)

おむつかぶれやよだれかぶれなどは、皮膚に刺激物が接触することによって引き起こされるため、接触性皮膚炎とも呼ばれます。おむつかぶれの原因は、おむつの中の尿や便の刺激によって引き起こされます。特に下痢の便は刺激が強く、長くおむつを取り替えないでいると、おむつかぶれのリスクが高まります。

もともとおむつ内は汗などで常に蒸れており、皮膚がふやけた状態になって刺激に弱くなっています。なるべくおむつの中は清潔に保つようにし、腰や太ももの部分が擦れないよう、正しいサイズのものを使用することが重要です。蒸れたおむつの中ではカンジタというカビ(真菌)も繁殖しやすくなっており、このカビによるカンジタ症(乳児寄生菌性紅斑)という皮膚炎を引き起こす場合もあります。

症状の軽いおむつかぶれであれば、おむつのサイズを適切にし、頻繁に交換するなど、常に清潔な状態を保てば、自然と治るものです。しかし、すでに湿疹ができていたり、表皮が剥がれていたりする場合は、炎症を抑えるため、ステロイドの塗り薬などを使用する場合もあります。またカンジタ症であった場合は、抗真菌薬の外用剤による治療が必要です。薬による治療は適切に行わないと症状が悪化する場合がありますので、おむつかぶれがなかなか治らない場合は、市販薬を使用する前に一度ご相談ください。

新生児ニキビ

生後1~2か月の赤ちゃんの額やあご、頬、まぶたなどに、ニキビのようなものがみられることがよくあります。これは新生児ニキビと呼ばれるもので、赤ちゃんの20~30%にこのような症状が出ると言われています。ニキビとは言いますが、思春期のニキビとは別のものです。

原因としては、お母さんから受け取った性ホルモンの影響により、皮脂の分泌が活発になり過ぎることによります。余った皮脂がお子さまの小さい毛穴に詰まってしまい、角化してブツブツとなってしまいます。細菌が原因で、皮膚に炎症が起きている場合もあると考えられています。多くは生後2~3か月で自然に軽減しますが、掻きむしることで悪化してしまう場合もありますので、注意は必要です。

新生児ニキビのケアでは、清潔にしておくことが大切になります。お風呂では刺激の少ない石鹸で優しく洗うようにし、入浴後はベビーローションなどで保湿しておくようにしましょう。寝具や衣類も清潔にしておくことが重要です。かさぶたとなっているものは無理に剥がすと細菌感染する恐れがありますのでやめましょう。

炎症の範囲が狭く、症状が軽ければ、自宅でケアしながら様子を見ても問題ありません。症状が悪化して膿んだり白くなったりしている場合は、ご相談ください。市販の薬を使用すると、悪化する場合がありますので、ご注意ください。

汗疹(あせも)

よく聞く「あせも」というのは、汗疹とも呼ばれる湿疹で、汗を出すための汗管と呼ばれる管に汗の成分やホコリが詰まり、正常な発汗ができなくなって発症するものです。お子さまによくみられるもので、夏場に多く発症します。

皮膚の浅い部分で詰まった場合は、角層内に汗がたまり、直径数ミリの透明な水疱が現れます。かゆみや赤みは現れず、数日で自然に治癒します。さらに皮膚の深い部分で詰まると紅色汗疹と呼ばれるものになります。あせもとしてよく知られているのはこの状態です。汗管の周囲に炎症が生じて、赤みや痒みが生じます。

あせもは予防することが大切で、エアコンを適切に使用する、お子さまの服装は通気性の良いものにする、汗を掻いたらこまめにふき取ったりシャワーを浴びたりする、といったことが大切です。

紅色汗疹が悪化して汗管が破れるなどしてしまった場合は、ステロイドの塗り薬などを使用する場合があります。細菌が感染してしまった場合は抗菌薬の内服が必要になることもあります。汗疹は、かゆみのため皮膚を搔いた部分に細菌が感染すると、とびひとなってしまう場合もありますので、あせもといっても注意する必要があります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴って、皮膚が赤くなったり、小さなブツブツができたり、皮がむけるなどの症状が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の疾患です。原因はまだよくわかっていない部分もありますが、皮膚のバリア機能が低下して、外部からの様々な刺激に対して影響を受けやすくなっていることが一因とされています。小さなお子さまでは、この皮膚のバリア機能がまだ十分に発達していないため、発症しやすいと考えられています。

乳児の場合は、主に頭や顔、首に、幼児や学童の場合は首の周り、おしり、肘や膝の関節やその内側に発症することが多くみられます。強いかゆみがあるため、小さなお子様の場合、掻きむしってしまい、細菌に感染して「とびひ」を発症してしまったり、目を掻いたり叩いたりして目の障害を引き起こしてしまったりする危険があります。

また強いかゆみによって睡眠の質が下がってしまい、夜間に分泌される成長ホルモンの量が低下し、成長に影響を与えたり、日中の集中力が低下して、勉強などに支障をきたしたりすることもあります。

そのためアトピー性皮膚炎の治療では、スキンケアを適切に行い、炎症をコントロールし、かゆみを抑えていくことが大切になります。お子さまそれぞれの状態に合わせて、日常生活におけるスキンケアのアドバイスや、ステロイド外用剤といった薬の適切な使用を通して、アトピー性皮膚炎であっても、お子さまが通常の生活を送れるよう、サポートしていきます。

なかさここども成長クリニック
院長
中迫正祥
診療科目
小児一般(乳幼児健診・予防接種・風邪など)/小児内分泌(低身長症・思春期早発症)/起立性調節障害
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