起立性調節障害について
起立性調節障害は、小学校低学年~思春期のお子さまに多く見られるもので、急に立ち上がった時や長時間立ち続けた時に、立ちくらみ・めまいなどの症状が現れます。男児より女児に起こりやすくその差は1.5~2倍とされています。
原因としては、交感神経や副交感神経といった自律神経の機能が低下する自律神経機能不全の一つと考えられており、これにより循環器の調節に障害が起こって上半身及び脳への血流が低下し、発症すると考えられています。
以下のような症状か見られる場合は、お気軽にご相談ください。
- たちくらみや、失神することがある
- 朝がなかなか起きられない
- 午前中は調子が悪いが、午後には元気になる
- 夜、なかなか寝られず、起床時間が遅くなる
- 頭痛や動悸がある
- 倦怠感、食欲不振がみられる
- 車に酔いやすい
- 顔色が悪い
- など
こうした症状を引き起こす原因としては、交感神経の活動が強すぎたり弱すぎたりすることや、学校や家庭でのストレスなども原因となると考えられています。
体は辛いのだけれども、学校に行かなければいけないという思いがさらに症状を進行させる場合もあります。外に出なくなることで活動量が低下すると、筋力低下化や自律神経機能が低下し、脳の血流低下が引き起こされるといように、悪循環に陥ってしまいます。こういったことに関し病気という認識がないと、単に怠けている、と捉えられ、それが原因で不登校や引きこもりになってしまう危険性もありますので、早期に発見し、適切な治療や対応をしていくことが大切です。
起立性調節障害の治療
治療としては、まずこの病気を理解していくことが重要です。お子さまが「怠けている」「学校に行きたくないだけのでは」と周囲が思ってしまい、怒ってしまったり、無理やり起こそうとしてしまったりすることで、関係が悪化し、症状も進んでしまいます。まずは「病気」であるととらえることが大切です。
その上で、決まった時間に就寝するなど規則正しい生活をする、筋力を衰えさせないためにウォーキング(30分程度)などを行う、急に頭の位置を動かさないようにする、水分を十分に摂るようにする、などの生活習慣に気を付けていくようにします。お子さま自身が自分で理解し行動しなければいけないため、根気よく指導を受ける必要があります。
薬による治療としては、自律神経を調節する薬や血流を増加させる薬などを使用する場合があります。同時に家庭生活や学校生活での「環境調整」を行っていくことも重要です。保護者や学校の先生が起立性調節障害について十分に理解し、医療機関も含め、全体でお子様を見守っていくことが大切になります。お子様の状態に不安を感じましたら、お気軽にご相談ください。